飯田市 川本喜八郎人形美術館
NHK人形劇三国志が好きすぎるマッキーです。
好きが爆発しているので、この記事は、自分とそして川本喜八郎先生と美術館関係者の皆様のために書きますので、その他の人にはドン引きされても構わないとさえ思っています。
私は物心ついたときから武将とか歴史が大好きな子どもであり、アニメ横山光輝三国志にハマるのは当然の流れ。
その好きさ加減は、小学校で何かのトラブルで先生が怒り「犯人が謝るまで先生は戻りません!」と職員室に引きこもってしまったとき、「早くしないと横山光輝三国志の時間になっちゃうから私が謝ってくる」と言って罪をかぶったほどです。
時の河はいまでもたまにカラオケで歌います。
そして中学校の時。たまたま付けたNHK。衝撃が走りました。
(多分日曜日の昼頃。再放送をしていました)
これは三国志!間違いない!三顧の礼だ!!
無機物とは思えない人形たちの迫真の演技に息をのみました。
人形劇のイメージをはるかに超えた人間ドラマが繰り広げられていたのです。
こんな素晴らしいものを知らずにいたとは…。
それからは全放送を視聴。昼寝をしていても親が「人形劇三国志の時間だよー」と起こしてくれるほどに家族でのめり込みました。
高校時代のある日。とんでもないニュースが飛び込んできました。飯田美術博物館に人形劇三国志がやってくると。
一瞬パニックになりました。
そもそも人形劇三国志を見ている人がまわりにいなかったので、そんなに有名なの?!なんで来るの???という戸惑い。そしてなによりも推したちに会える喜び!!
これは皆さんが安室奈美恵さんとか、ジャニーズのアイドルの方とかに会うのと全く同じ感覚なのです。テレビの中の憧れの役者さんが飯田文化会館に!ということなのです。
初めて孔明様にお会いした瞬間の感激は忘れられません。輝いておられました。確かに生きている。呼吸を感じました。刻一刻と変化する表情。微笑んでいるような苦悩しているような…。本物はオーラが違いました。
私は泣きながらその場を離れることができず、一時間以上眺め拝み、アンケート用紙にながーいながーーーーい感想文…川本先生と関係者の皆様への感謝、人形劇三国志を視聴した感想、先生の人形の素晴らしさ、飯田美術博物館に別棟を建設して常設してくれないかという嘆願を切々と連ねました。
大学時代は学校やバイト先での布教にいそしみました。所かまわず『NHK人形劇三国志で「酒だ!酒を持って来い!!」と美芳に酒をせがむ張飛』『気に入らない報告を聞き「な~~~にぃ~~~」と斥候を睨みつける曹操』などという物まねを披露し人気を博し、多くの人が興味を持ってくれました。細かすぎるモノマネの先駆けですね。
また、ガチャガチャが発売されたのもこの時期。海洋堂様が制作してくださったとのことでテンションぶちあがってコンプするまで国分寺駅南口ツタヤ前のガチャを回しまくりました。海洋堂様のフィギュアは服のしわの1本に至るまで最高です。さすが川本先生はわかってらしゃると唸りました。
そしてついにその日が。
2007年3月。川本喜八郎人形美術館が飯田市に開館しました。
夢みたい!!信じられない!!と思うと同時に、きっとあの時の嘆願が先生に届いたのだと勝手に感激をしております。
川本喜八郎人形美術館の公式サイトの先生からのメッセージで、先生は日常的にアンケートに目を通されていたということが伺えますので、これはもう間違いないと思います。
このメッセージはたいへん素晴らしいので飯田市民は必ず読んでください。
大事な人形たちの安住の地として飯田を選んでくださった川本先生初め、川本喜八郎人形美術館を誘致してくださいました関係者の皆様には感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。
では、そんな熱い想いにおされて開館しました川本喜八郎人形美術館をレポートします。満を持して!
階段もとてもいい雰囲気ですね。両脇に配置されたライトが合戦場の松明にみえます。
お気づきになりましたか。
シルエットがひとつづつ違いますね!!!
曹操様のシルエットを発見。これは海洋堂のフォギュア(最初はガチャガチャにて販売。)の曹操様ですね。美術館でも買えます。箱を持ち上げて重いのは孔明様です。曹操様をお求めの皆様におかれましては孔明の罠ですので気を付けましょう。
入り口は円形の自動ドアになっており、異次元空間ぽくてわくわくします。
エントランス正面に孔明様と川本先生のお写真が!!!
後ろにあるのは孔明様が書かれた出師の表です。
孔明様が晩年、中原を平定するため出陣する際、劉備の子である若い王・劉禅に宛て書き残したものです。
劉禅を心配し、人材を大切にしてください、お父様は平民であった私を三度も訪れて取り立ててくれた。御恩は決して忘れない―――という内容です。
孔明様はこの出陣中に病にかかり、五丈原で落命されます。
涙なしには読めないやつですね!!!
こちらは撮影スポットとなっており、このために川本先生が1年かけて制作された木目込み人形なのだそうです。
いよいよ階段をあがり展示室へ。
ここから先は撮影禁止なので、文章でレポートいたします。
川本喜八郎人形美術館のスタッフの方はみな懇切丁寧。人形が好きなんだなあというのがめちゃくちゃ伝わってきます。
見学をはじめたら、若い女性スタッフさんがやってきて「解説いたしますか?」と聞いてくれました!
解説を受けたことがなかったので、お願いすることに。
スタッフさん(以下ス)「こちらは主人公劉備に仕えた五虎大将です」
子「この人すごいヒゲ」
私「そうね。この人は頭も良くて強くて中国では神様と言われてるんだよ。武器は青龍偃月刀。ゲームだと張遼も似たようなの持ってる。五人並んでるけど、この二人が一番最初でうんぬんかんぬん」
ス「お詳しいんですか?」
私「三国志好きなんです。人形劇も再放送でほとんどみました。」
ス「そうなんですかー!」
大丈夫だろうか…変なのきちゃったと思われないかな…。
でもきっと全国からもっとすごい人が来ているはずなので、私の相手などお手の物だと思い直す。
人形の他に名場面のスチールパネルもあり、興味を持った子の質問に、ここぞとばかりに個人的な偏見を交えひとつひとつ答えました。ヲタク独特の早口で。
私は、張飛は酒ばっかのんでてアレだけど愛すべきキャラだとか、せっかく助けた阿斗こと劉禅は若干アレでアレだったとかそういうことも、子どもに積極的に伝えていくスタイルです。
歴史ものの面白さって全員が完全無欠ヒーローのご都合主義ではないカオスなところだと思うからです。
川本先生の三国志の人形はそういう内面的なところまで完璧に表現しきっており、三国志ファンのイメージをドンピシャで具現化してくれています。最高。
アニメの実写化によくある「この俳優かよー!?」みたいな気持ち悪さがないのです。
私「推しは曹様なんです」
ス「こちらにいらっしゃいますよ~」
私「赤いいですよね。青イメージの作品もありますが。私は曹様は赤だと思います。」
ス「衣装を決める時、かなり悩んだそうなのですが、赤を合わせた時、川本が赤だ、と。着物は帯地でできているので、赤いものがなかなかなく、探すのにもとても苦労したそうです。」
川本喜八郎人形美術館の館長は川本先生なので、スタッフさんは身内ということで敬称をつけないんですね。素敵。
私「気性までしっかり表現されてますね」
ス「気性が激しいといえば司馬懿仲達ですが、眉毛が動く作りになっています。目も動きます。」
私「へーーー!」
私「人形の頭は複数あるんですか?」
ス「基本、ひとつです」
私「え!!でも、嬉しそうだったり、激怒したり、病気でやつれたりするじゃないですか」
ス「人形の顔はわざと左右非対称でつくられています。能面づくりというのですが、数ミリ単位で変えることにより、角度によって表情を変えることができます」
私「すごすぎる」
しかし、あまりに私がじっくり見ているので、子どもが飽きてきてしまいました。
子「つまらない・・・」
ス「うふふ。人形が動かせるけどやってみる?」
と、子の手をとり優しく誘導。あなたが神か・・・!!
人形を動かすのは私も興味がありますので、ついていきます。
展示室内に、人形の仕組みを実際に触って体験できるコーナーが。胴体部分がみやすく、顔以外は骨組みだけ。あとは本物と同様です。
浄瑠璃人形のイメージがあったため、3人で操作しているのかとおもいきや、一人ですべて動かしているそう。
スタッフさんに指導いただきやってみましたが、どうやっても無理…相当の修練が必要です。
ス「先ほどの表情なんですけど、下を向けるとこのように…はあ~どうしよう・・・」
私・子「おお・・」
ス「上を向けて、こう、顔に光を当てると、今日もがんばるぞー!」
私・子「おおおー!!」
スタッフさんはしっかり人形を操れておりました。すごい!!
定時になるとシアタールームにて川本先生の人形アニメーション作品を上映しているそうで、名残惜しいですが、展示室を後にしシアタールームに向います。
この日は「花折り」という作品。ちょうど桜の季節にぴったり。
川本先生が最初に制作された本格アニメーション作品とのことで、初めての作品は楽しいものにしたかったというコメントから、先生のお人柄がわかります。
約15分ほどの尺で、音楽とSEだけで構成されておりセリフがない作品ですが、お経と笑い声のみ音声がついており、黒柳徹子さんが担当されております。
じっと座ってることが苦手な子どもが、最後まで引き込まれるように見ていてとても嬉しかったです。
川本喜八郎人形美術館は何度行っても全然飽きないです。
まだ訪れたことが無い方は1度は行ってください。お好きな方は定期的に通うことをお勧めいたします。そしてできればDVDなどで人形劇三国志を見てから行くとまた格別ですよ。
ちなみに、普段、夏候惇の事を「惇にい」と呼んでいるので、子に説明するとき
「ここにいるのは惇に・・・いや、あの、なんていったかな、本名ど忘れした。惇・・・惇・・・?」
となりました。
みなさんも日常、惇にいとか曹様とか孫家の若造とか象に乗ってる蛮族とか呼んでいると、公的な場であわてることになりますので気をつけましょうね!
おわり。
《人形劇三国志ファンも見たことがない人にも朗報!》
DVDの再販が決定しました!しかも技術進歩により巻数を減らし廉価になっております。
これは買うしかないですね!!!